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2024年10月01日(火)

不動産投資の利回りとは?計算方法や最低ライン、何%が理想なのか解説

不動産投資に関連する言葉として頻出するのが「利回り」です。利回りは不動産投資の物件選びで重要な指標となるため、不動産投資をはじめる前に概要を把握しておきましょう。

今回は投資物件選びで失敗しないために、利回りの計算方法や最低ライン、理想的な割合などを解説します。

 

不動産投資の利回りとは?

不動産投資の利回りとは、投資物件の価格に対して、1年間の運用で得られる利益の割合です。利回りは、不動産投資に成功するか失敗するかを左右する重要な指標といえます。

 

利回りと利率の違い

利回りと似た言葉に利率がありますが、この2つは以下のような違いがあります。

【利回りと利率の違い】
利回りと利率の違い

利回りは、家賃収入や不動産の売買損益を含めた総合的な利益の割合を指す言葉です。一方の利率は、預金や債券から得られる利息の割合を指しています。

なお資産運用では基本的に、利回り(リターン)が高いほどリスクも高くなる傾向にあります。低リスクな資産運用をすれば、リターンは低く(=ローリスク・ローリターン)、高リスクな資産運用をすればリターンも高く(=ハイリスク・ハイリターン)なるのです。

 

利回りが高い物件、低い物件の違いとは?

利回りが高い物件と、利回りが低い物件の特徴は次のとおりです。

【利回りが高い物件と低い物件の特徴】
利回りが高い物件と低い物件の特徴

価格が安い物件ほど利回りが高く、価格が高い物件ほど利回りが低くなります。同じ価格であれば家賃収入の多いほうが利回りが高くなり、少なければ利回りは低くなります。利回りは、利益から取得費や運営費を割って計算するためです。

それぞれに異なる特徴があり、利回りが高い物件だからといって必ずしも優れた物件であるとは限りません。利回り以外で注目すべきポイントについては、【不動産投資では利回り以外にも注目しよう】で詳しく解説します。

 

利回りの種類と計算方法

利回りには以下のような種類があり、計算方法も異なります。順番に詳しく見ていきましょう。

<利回りの種類と計算方法>
・表面利回り(グロス利回り)
・実質利回り(ネット利回り)
・想定利回り
・現行利回り

 

表面利回り(グロス利回り)

表面利回り(グロス利回り)とは、物件の購入価格に対して1年間で得られる家賃収入の割合です。計算式は次のとおりで、税金や管理費などの経費は計算に含めません。

<表面利回りの計算方法>
(年間家賃収入÷物件購入価格)×100

たとえば年間家賃収入が120万円で、物件購入価格が3,000万円の場合、表面利回りは4%です。

 

実質利回り(ネット利回り)

実質利回り(ネット利回り)とは、表面利回りに購入時の諸費用や運営費、税金、保険料、修繕費などを含めて計算した割合です。実質利回りは、次の計算式を用いて計算します。

<実質利回りの計算方法>
(年間収入-年間諸費用)÷(物件購入価格+購入時諸費用)×100

たとえば年間収入-年間諸費用が60万円で、物件購入価格+購入時諸費用が3,500万円の場合、実質利回りは1.71%です。

 

想定利回り

想定利回りとは、一棟マンションなど複数の部屋を満室経営した場合を想定し、家賃収入を物件価格で割り出した利回りです。想定利回りは、次のように計算します。

<想定利回りの計算方法>
(満室経営を想定した家賃収入÷物件価格)×100

たとえば年間収入が120万円の部屋を5室経営しており、物件価格の合計が1億円だった場合、想定利回りは6%です。

 

現行利回り

現行利回りとは、空室中の部屋の家賃は家賃収入に含まず、入居者から得ている現行の家賃収入を物件価格で割った利回りです。現行利回りは、次のように計算します。

<現行利回りの計算方法>
(実際の家賃収入÷物件価格)×100

たとえば、物件価格1億円で年間収入が120万円の部屋を5室経営しており、うち3部屋に入居者がいる場合、現行利回りは3.6%です。

 

不動産投資の理想的な利回りはいくら?

不動産投資の理想的な利回りは、物件のタイプによって以下のように異なります。

【不動産投資の理想的な利回り】
不動産投資の理想的な利回り

この基準をもとに、利回りの最低ラインや平均利回りをもとに、購入する物件を選びましょう。

 

不動産投資の利回りの最低ライン

築年数や立地によっても異なりますが、物件のタイプ別に見た利回りの最低ラインは次のとおりです。

【利回りの最低ライン】
利回りの最低ライン

上記の最低ラインをクリアしている物件を選ぶと、不動産投資に失敗しにくいでしょう。

 

不動産投資の平均利回り

不動産投資の平均的な利回りは次のとおりです。

【利回りの平均的な相場】
利回りの平均的な相場

高い利回りを期待できるのは一棟マンションや一棟アパートで、いずれも8%を超える場合が多いです。基本的には上記の平均利回りよりも利回りが高い物件に注目し、後述する利回り以外のポイントも確認しながら購入する物件を選びましょう。

なお、2021年1月~2022年3月までの一棟マンション・一棟アパートにおける平均利回りは、地域ごとに次のとおりです。

 

【地域ごとに見た一棟マンション・一棟アパートの平均利回り】
地域ごとに見た一棟マンション・一棟アパートの平均利回り

 

極端に高い利回りは危険!

利回りが高い物件ほど高い利益の確保を期待できますが、極端に高い利回りの物件には注意しましょう。売却価格が安い物件には、何らかの悪条件が含まれる可能性が高いためです。具体的には、以下のようなデメリットが含まれる場合があります。

<高い利回りの物件に関するデメリット>
・立地の利便性が低い
・賃貸物件としての需要が低い
・そもそも土地の価格が安い
・現行の耐震基準を満たしていない
・建築基準法を満たしておらず建築が「条件付き」である
・築年数が古い
・瑕疵物件(事故物件)である

このような事情で売却価格が安い場合、利回りが高くなりがちです。高利回りという理由だけで物件を購入すると、「空室が埋まらない」「売却したいと思っても買主が見つからない」といった問題に直面する可能性があります。

一方で、以下のような物件は高利回りだとしても「買い」であるといえます。

<高利回りでも購入をおすすめできる物件の特徴>
・売主に売却を急ぐ事情があり、割安な価格に設定されている
・売主が不動産に詳しくなく、相場よりも安く値付けされている

上記に該当する物件には、プロである不動産業者も目を付けています。そのため一般の市場に出回ることはまれですが、運良く発見できた場合は購入を検討すると良いでしょう。

 

不動産投資では利回り以外にも注目しよう

不動産投資で重視される利回りですが、「高利回り=よい物件」とは限りません。利回りが低くても、長期的に見れば大きな利益を上げられる物件の可能性もあります。不動産投資をはじめる際は、利回りだけではなく、以下のポイントにも注目しましょう。

<不動産投資で注目すべきポイント>
・立地がよく、高い入居率を見込めるか
・物件の資産価値が下がりにくいか
・新耐震基準を満たしているか
・間取りがよく住みやすい物件か
・低金利で借入ができるか
・管理が行き届いているか

 

立地がよく、高い入居率を見込めるか

不動産投資で注目すべきなのは入居率です。いくら利回りが高くても、入居者がいなければ利益を得られません。そのため、「最寄り駅から徒歩5分以内」「スーパーマーケットや病院などの生活利便施設が近い」などといった、好立地の物件を選びましょう。

区分マンションを購入する場合は、ほかの部屋の空室状況も確認して、空室が少ない人気のある物件を選ぶと安心です。また周辺エリアの賃貸需要や再開発情報も確認しましょう。賃貸需要が高く将来性にも期待できるエリアの物件を選ぶと、将来的にも高い入居率を見込めます。

 

物件の資産価値が下がりにくいか

物件の資産価値を維持しやすいかどうかも重要なポイントです。資産価値が下がりにくい物件を選べば、5年、10年が経過した後も、家賃を大幅に引き下げる必要がなくなります。また将来的に売却する際も、高値を維持しやすいことに加えて、素早く買主が見つかる可能性が高いです。

資産価値を維持しやすい物件を購入したい場合は、できるだけ築年数が浅い物件を選ぶことをおすすめします。また周辺エリアの地価推移も確認しましょう。地価が右肩上がりの状態か、長年にわたって維持できている状態なら、将来的に資産価値が急落する可能性は低いです。

 

新耐震基準を満たしているか

安全性の高い物件を選ぶために、新耐震基準を満たしているかどうかを確認しましょう。新耐震基準とは、1981年6月に改正された新しい耐震基準です。新耐震基準の物件は、震度6以上の地震にも耐えられる強い構造のため、万一の被災時にも不動産の資産価値を守りやすくなります。

1981年6月以前の物件は旧耐震基準の可能性があり、将来的にスムーズな売却が難しい可能性が高いため要注意です。また、耐震基準は入居者にとっても安全性を確認するうえで重要な指標のため、旧耐震基準の物件は空室リスクが高くなります。

 

間取りがよく住みやすい物件か

間取りがよく、入居者が住みやすい物件を選びましょう。間取りとは、「1K」「2DK」「3LDK」などのように数字とアルファベットで構成された専門用語です。理想的な間取りは、入居者の家族構成やエリアの特徴によって異なります。

たとえばオフィス街の近くにある物件は、単身者の利用が多いため、ワンルーム~1DKといったコンパクトで家賃を抑えやすい間取りが適しています。一方で、郊外にある物件や、近隣に幼稚園や小中学校などがある物件はファミリーからの需要が高いため、2DK~4LDKといった広い間取りの物件がおすすめです。

 

低金利で借入ができるか

不動産ローンを組んで投資物件を購入する場合は、低金利で借入ができる物件の購入がおすすめです。たとえ利回りが低くても、低金利で借入ができれば、キャッシュフローを多く出せます。そのため、高利回りの物件を高金利で購入する場合と比較しても、ほぼ変わらない利益を得やすいでしょう。

低金利で借入ができる物件の特徴は、銀行などの金融機関から高い評価を得やすい、資産性が高い物件です。都市部にあって賃貸需要が高い物件や、最新の設備を多くそろえている物件は資産性が高いと判断されやすく、不動産ローンを低金利で借入しやすいでしょう。

 

管理が行き届いているか

共用部分も含めて、管理が行き届いている物件を選ぶことも、不動産投資で失敗しないためのポイントです。とくに外壁塗装や屋上防水工事がきちんと行われているか、室内の原状回復工事が適切に行われているかどうかを確認しましょう。

修繕が行き届いていない物件は、購入後に雨漏りなどのトラブルが起こり、数百万円単位の修繕費を請求されるかもしれません。管理が行き届いている物件は資産価値が高いため、利回りは低い傾向にありますが、安心して賃貸経営をしやすいでしょう。

 

まとめ

不動産投資の利回りとは、投資物件の価格に対して、1年間の運用で得られる利益の割合のことです。投資商品の年利とほぼ同じ指標といえるので、利回りは投資物件を購入する際に重要な要素となります。

ただし、利回りとリスクは基本的に比例関係にあるので「高利回り=よい物件」とは限りません。安定した収益を得るためには利回りの数値だけに振り回されず、空室リスクが低く、資産価値が下がりにくい物件を選ぶことが重要です。そのためには「立地がよいか」「管理が行き届いているか」など、この記事でご紹介した6つのポイントを確認しましょう。

 

※本コンテンツは情報提供を目的としており、不動産投資その他の行動において断定的判断を提供する目的で作成したものではございません。物件購入、融資条件等の不動産投資の最終決定はお客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本記事の情報は、信頼できると判断した情報・データに基づいておりますが、正確性、最新性を保証するものではありません。法改正等により記事執筆時点とは異なる状況になっている場合があります。また本記事では、記事のテーマに関する一般的な内容を記載しており、より個別的な、不動産投資・ローン・税制等の制度が読者に適用されるかについては、読者において各記事の分野の専門家にお問い合わせください。本記事の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、運営者及び情報提供者は一切の責任を負いません。

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