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2020年07月10日(金)
東京の治水対策-地下神殿-
九州や岐阜、長野などの豪雨の被害に合われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
豪雨の被害に関しては、関東や東京都も他人事ではありません。
昨年の台風でも多摩川の氾濫がありました。
大きな洪水では、1910年には関東大水害がありました。
明治43年(1910年)8月に梅雨前線と台風が重なり
1都15県で769人の死者を出しました。
被害が一番多かったのは、群馬県の283人です。
その後東京都も利根川の治水費を負担するようになり
荒川においても大規模な改修計画が策定されました。
これは「荒川放水路事業」と呼ばれ、埼玉県の岩淵水門から中川河口まで
長さ22km、幅500mの人口河川が17年かけて1930年に完成しました。
開削工事に伴う土砂の量は東京ドーム約18杯分現代のような重機もなく、大半が手作業で、
出水や土砂崩れなどで30人近くの犠牲者が出たそうです。
そして荒川放水路完成後、東京では大きな洪水が無くなりました。
現在の岩淵水門からの人口河川を荒川(荒川放水路のこと)と呼び、かつての荒川は隅田川と呼ばれています。
そして中川、綾瀬川流域の洪水対策として2006年に総工費
2300億円をかけて完成したのが首都圏外郭放水路です。
通称 「地下神殿」とも呼ばれます。
「彩龍の川」が正式愛称です。
これは世界最大級の地底50mを流れる地下放水路です。
埼玉県の春日部にあり、東京都を水害から守る守護神とも言えるでしょう。
※資料引用)首都圏外郭放水路 国土交通省 江戸川河川事務所HP
5本ある、各立坑の深さは約70m 内径約30m
スペースシャトルや自由の女神もスッポリ入る大きさです。
地下神殿で一度に貯められる量は、67万立方メートル
サンシャイン60ビルと同程度ということです。
通常時は、空っぽで観光にも人気があるそうです。
※無料で見学できるそうですが、条件は自力で階段を約100段歩行できる人です。
毎年大雨の時に平均7回程度稼働していてこういった施設が、関東の人々の生活や、命、東京の不動産の価値を守ってくれています。
今年の台風被害が少ない事を、願います。