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2020年11月06日(金)
企業年金の終焉?-予定利率下げ-
世界的な金利低下の影響で、企業年金の運用が厳しくなっています。
企業年金は古くは退職金を分割して受け取るところから始まりました。
退職金を一時金として払えない会社が、分割して年金として支払ったのです。
1949年に大手百貨店が初めて企業年金の仕組みを取り入れました。
その後、製紙メーカーや電機メーカーが取り入れ1965年くらいから
企業年金の制度は普及していきました。
好景気や金利の高かった時代は企業が高い運用利回り(約5%)を保証できましたが
バブル崩壊や低金利時代を迎え、資産運用が悪化して社員に約束した利息額を運用できなくなりました。
運用不足の金額が多額になり、会社の負債として計上しなければならなくなり、年金債務のために会社経営が傾くという状況になりました。
2001年以降、企業年金は衰退のトレンドです。
そして先月、第一生命保険は、年金資金を運用する予定利率を2021年10月から
現在の1.25%から0.25%に下げる方針を決めました。
◎会社員の年金は国が運営する国民年金(基礎年金)
厚生年金に加えて企業などが運営する私的年金の3階建てになっています。
※資料引用 金融広報中央委員会
3階部分の年金は、将来の支払額を保証する
「確定給付型」と支払額が運用実績により変わる
「確定拠出型」の2種類があります。
今回第一生命が利下げするのは確定給付型の企業年金保険です。
このタイプの企業年金は減少傾向とはいえ第一生命の契約先だけで、3000社が対象になります。
他の生保各社も第一生命に追随する可能性が高いです。
現在「確定給付型」の企業年金のある会社は
日本全体で1万3千社、加入者は940万人になります。
資産の運用規模は約61兆円です。
運用利回りが1%下がるわけですから、受け取る企業年金額も大きく減少するでしょう。
企業は今後 「確定給付型」の年金を見直し「確定拠出型」に移行していくでしょう。
「確定拠出型」というのは、わかりにくい呼称ですが
簡単に言えば、「変動給付型」年金です。
運用成績次第で、将来の年金が増えたり減ったりするということです。
国の年金にもあまり頼れない現在、優良企業の社員でも
企業年金にも頼れない時代になってしまいました。
トランプ大統領や菅首相のように70歳代でも元気で働ける人も中にはいますが、
一般的な会社員は老後のために金融、投資の勉強をして
自分で資産運用することが必然的な時代です。